「採用基準」 伊賀泰代さんのお考えについて 〜その1〜

採用基準

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 先週北海道に仕事に行く際、苦手な飛行機に一人で乗らなければならなくて、機内で気を紛らすために読む本を探しに紀伊国屋書店に行きました。そこで、この本に出会いました。
 というか、数日前に、http://www.katsumaweb.com/blog/?p=4609
こちらのブログを見ていて、ちょっと気になっていたので、「ああ、あの本だな」と思って手にしました。正直、気を紛らすために買うにはちょっと硬い内容だったりして…と思いながら買ったのですが、読んでいくうちに、いつも自分が気にしていること、気にしているからこそよく読んでいるモノの内容と、ぴったりあっていて、読んでいて楽しくてたまりませんでした。

 伊賀泰代さんという方は、マッキンゼーで採用マネージャーを務められいたそうですが、まず最初にびっくりしたのは
自分はコンサルタントの仕事よりマッキンゼー自体の採用や人材育成の仕事の方が、会社や社会に貢献できるから、そのポジションを新設して自分を雇うべきだ、と経営者グループを説得した
という点です。伊賀さんはこれを「生まれて初めて、自分の意思でキャリア転換をした」とも言っておられますが、これ、衝撃でした。

 私も常々、まず会社内の異動について、自分の希望をどの程度伝えればいいのか、はたまた、自分の希望=どんな仕事が本当はしたいのか、って何なのか、このキャリアになってもわからないなあ、と思い、かつ、これではダメだなあということを、自己申告書を書く度に思っているわけなんです。今の仕事もきちんとできている自信もない中で、あれがやりたいこれがやりたい、というのは自分勝手かな、という遠慮もなくはありません。

伊賀さんのまわりの方が、上の決断について、サポート部門に移ることの意味をよく考えるべきとアドバイスされたり、収入が下がることを懸念されたり、という話も想像に難くないです。
 私の所属する組織では、所謂メインの仕事から異動すると、大半の人がやっている仕事とは違う仕事をする、ということだけなのに、「体でも悪くしたのか」とか「何かあったのか」とか、妙に勘ぐられたり、あからさまに「あいつはメインからは外された」といったことを社内外から言われたり、かなり滑稽です。若いころは私も、自分がそのような異動をしたときにまわりにそう言われたり思われたりすることに腹を立てたりしていましたが、今考えるとちゃんちゃらおかしい話です。証拠に、私はその「メインとはちょっと違った仕事」に就いたおかげで、自分で会計の勉強をしたり、資格を取得したり、今まで出会ったことのなかったような専門家と仕事をする機会に恵まれ、また、人生の恩師ともいえる方との出会いもあり、本当にかけがえのない時間、経験を手にしたのです。みんなと同じことを、同じパターンでやっていたら、知りえなかった世界でした。
 みんな(私もふくめ)、ひとと違うことをする、ということにあまりに臆病なのです。また同じやり方で同じことを繰り返すことは簡単で、自分のアタマで考えて新しいことを作り出す、ということは億劫なのです。実は変化は好きではないのでしょう。この組織で働き続けるのならば、メインの仕事をやっておくのが出世していくためにも無難で、王道なんだ、と思っているのでしょう。
 私のその経験も、会社からたまたま発令された異動であり、自分でやりたいと言ったことではありませんでした(当時はやりたいと思ってもいませんでした)。その後も、自分から「こういった仕事をしたい。これなら自分の強みを発揮できる。会社や社会に貢献できる」といった提案を会社(もしくは上司)にしたことはありません。自己申告書の「希望する部署」にちょこちょこっと、やってみたい業務を書くのが精いっぱいです。
 自分が本当はこの組織で何をやり遂げたいのか、(もしかしたら、この組織ではないかもしれないけれど)、やりたいことが何なのか、まずは、考えに考え抜いて自分のこれからのキャリアを真剣に考えてみようかと思うきっかけになりました。
 とここまで書いたけど、伊賀さんの本の、まだ「はじめに」と序章にしか触れていません…。いろいろ書きたいことはあるのですが、数回に分けて書こうと思います。次は伊賀さんの提唱される「リーダーシップ」について自分が考えたことを書きたいと思います。